オレが無職になりまして。

新卒2年目にして会社をクビになったオレの、再起を目指ざす日々の記録

無職のオレの自転車お遍路日記 プロローグ編

 仕事を失ったオレは、暇を持て余していた。次の仕事のアテは無いし、すぐに仕事を探す気にもならない。サラリーマンが務まらなかった自分に何ができる(したい)のかも分からない。

 退職者の多くが、旅に出るイメージがある。「充電期間」とか「自分探しの旅」と呼ばれるやつだ。中には、旅に出るために仕事を辞める人もいる。唐突に仕事を失ったオレも例に漏れず、なんとなく、旅に出なければいけないような気がしていた。

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 四国八十八ヶ所霊場。それは真言宗の開祖、弘法大師空海が開いたという、四国一周約1400kmに及ぶ巡礼の道だ。人は、それぞれの願いをかけて、四国4県に点在する88箇所のお寺を巡拝し、弘法大師の足跡を辿る。

 「そうだ、お遍路いこう」

 なんとなく、そう思い立った。以前、歩き遍路の旅に出た友人から、お遍路の魅力を聞いたことがあった(友人は残念ながら途中で断念してしまったのだが……)。話を聞いた当時の自分にはあまりピンとこなかったのだが、今こそ遍路の旅に出るべき時なんじゃないかと思った。他にやることもないし。

 そう考えれば遍路の旅に出るべき理由みたいなものが、なんとなく見えてきた。オレは会社を不本意な形で辞めている(会社から「自主退社してくれ」と言われ、それに応じてしまった)。これまでの人生を振り返っても、何かを達成した、やり遂げたと胸を張って言えるような経験はなかったんじゃないか。そんな自分にとって、遍路の旅は、何かを「やり遂げる」良い機会になるんじゃないか……。

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 そうしてオレは、八十八ヶ所巡拝の旅に出ることを決意した。旅の手段はもちろん歩き……ではなく、日程的な都合から自転車を使用することにした。まあ、人力だからご利益は変わらないだろう。(この判断は正しかったというか、むしろ歩くよりしんどいことも多かった。続きは後ほど)